天秀丸

朝5時30分に起きて空路、広島入り。
今日は、父の経営する海運会社の命名引渡し式があり、それに家族で参加するためだ。
その船は、祖父の名前から一字をとって「天秀丸」と命名された。
命名は父。そして支綱切断は祖母。船の名前の文字は、祖母が書いたものだ。見慣れた少し細めの祖母の字が、黒い船体にしっかり刻み込まれている。
かつて、祖父が曽祖父の名前から「天勝丸」という船を造ったのと同じように、60歳を越えてやっと祖父の名前の船を持つようになった父。
父のなかでは、祖母、そして亡くなった祖父に対しての最高の親孝行なのかもしれない。
早くに亡くなった祖父、そして年老いた祖母を見てきた私からすれば、もっと早くにすればいいのに・・・という気持ちもなくはない。ただ、父の中での気持ちの整理などもあったのだろう・・・
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今日の式には、大勢のOBの方々も参加されていた。
広島の片隅の小さな造船所を、海外に工場を持つような造船所に発展させてきた礎を築いた方たち。80歳前後の方も多く、お元気なお姿みた一方で、もう亡くなられている方のお話も聞き、寂しい気持ちにもなる。
かつても今も、日本を代表する製造業のひとつ、造船業を身近に見てきた私としては、技術者の育成から品質の管理まで、一朝一夕ではできないものだというのが実感だ。試行錯誤も含め、時間をかけて積み重ねたものが形となり、次代に引き継がれていく・・・。
先代から父の代へ、そして弟の代へ・・・。家業が継続されていく中で、大切にし、忘れてはならないのは、先人たちの積み重ねてきた努力だと思う。
私たちは次代に何を残すことができるのだろうか・・・。自分のことだけでなく、過去から未来へと続く「線」のなかの「点」。そのかけがえのない今をいかに生きるか。
そんなことをちょっと考えてみた一日だった。

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